研究室概要

“Think globally, act locally.”

身近な環境改善から政策の意思決定支援まで、
地球環境問題の解決の一助となるような研究を行なっています。

From familiar environmental improvements to policy decision support,
Our research is being conducted to help solve global environmental problems.

研究方針

吉田研究室では、エネルギーシステムと環境問題の現状をさまざまな側面から包括的に捉えるとともに、これらを取り扱うシステム手法を示し、人類の持続可能な発展のための研究をおこなっています。特にエネルギーを有効に利用することを念頭においた俯瞰的視点による学際的な研究を得意としています。具体的には、地球温暖化対策・環境貢献活動の実践や、制度の社会的実装を念頭におきつつ、工学、経済学、行動科学など幅広い手法を活用して環境貢献技術の評価等をおこなっています。

学融合の体系を目指す本専攻では分野が広範囲にわたります。研究においては明確な問題意識を持つことから始めて、問題解決のために何が必要であるかを自ら考えることを心がけてほしいと思います。

 

Yoshida’s Office takes a comprehensive view of the current state of energy systems and environmental problems from a variety of aspects, presents system methods to deal with them, and conducts research to ensure the sustainable development of human beings.

We are especially specialized at interdisciplinary researches: Specifically, while taking into consideration global warming countermeasures and environmental contribution activities and social implementation of the system, our research includes a wide range of techniques to contribute to the environment, including engineering, economics and behavioral science.

I want you to start with a clear sense of problem in your research and

consider what you need to do to solve problems.

研究内容

研究事例

研究例を、以下に示します。

  1. ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の実証と、気象データを用いた天候デリバティブの検討
  2. HEMSにより収集した家庭や業務ビルなどのエネルギー消費量の統計的解析による省エネルギー方策の提案
  3. 脳活動等の生態信号による客観指標と申告による主観指標を統合した温熱快適感の評価
  4. 個人の限定合理性を考慮した環境技術・サービスの社会受容性・普及可能性のシミュレーション分析
  5. マーケット調査手法に基づいた消費者の環境選好の定量化による、エコ商品、エコ活動の普及可能性分析
  6. 住宅や業務部門でのコジェネレーションなどの導入による環境性・経済性の改善のシミュレーション分析

過去の研究テーマに関しては「研究事例」の項にて紹介します。

再生可能エネルギー普及と農業再生

水田でお米をつくりながら太陽光発電で電気を作ります。水田の太陽光発電の潜在量は非常に大きく、日本の水田面積の1%に太陽光パネルを載せるだけで、2014年の日本のすべての太陽光発電パネルの量に相当します。多額の補助金が投入されている日本の米ですが、その補助金を水田で発電した電力の買取に振り替えれば、発電による売上で収入が増えるコメ農業の再生と再生可能エネルギーの普及が同時に達成できます。この提案を現実のものにするためには、太陽光パネルの陰で米の生育がどのくらい悪くなるのか?、影響を緩和する技術的な対策はどのようなものがあるか?について定量的に答えられるようにする必要があります。そこで研究室では遮光度合いと肥料の量を制御した水田で米を栽培する研究をしています。

具体的には?

東大の田無の圃場(5アール)を強遮光区(35%遮光、右)、無遮光区(中)、弱遮光区(20%遮光、左)にわけ、それぞれを施肥の量を3段階に分けて2反復した計18処理区にて栽培。遮光の主な影響である穂数の減少をどう克服するかがポイント。三井物産環境基金、ヤンマー資源循環支援機構の助成を受け実施中。

電力の省エネルギーの可能性

再生可能エネルギーによる発電だけでなく、消費する電力を減らす省エネルギーも重要です。研究室では日々の時々刻々に得られる家庭の電力消費について毎日集めたデータ(いわゆるビッグデータ)をもとに、省エネにつながる「何か」を発見しようと統計的解析を行っています。これまでの研究で、朝型の生活 が夜型の生活よりも省エネであること、多くの家庭にとって普段のリズムの生活がより省エネであることを見出しています。さらに実際に朝型の生活に生活スタイルを変えることで省エネと健康の両立が実現できるかについて、被験者による検証を行っています。また家庭だけでなく、公立小中学校についても同様に電力消費量のデータを分析し、省エネにつながる提案を行うための研究を開始しています。

具体的には?

電力消費データを分析した、戸建て住宅居住の76世帯に「省エネアドバイスレポート」を送付。この例では、朝型生活へのシフトによる省エネを提案。多くの世帯でレポートは有効で、統計的に有意な節電効果を確認。

環境技術の社会受容性

どんなに優れた環境技術も、社会に受け入れられなければ宝の持ち腐れです。消費者は必ずしも経済的に合理的でなく、受け入れないのは単に効果が小さいから、値段が高いからという理由だけではありません。例えば古い冷蔵庫を使い続けて、確かに値段は高いけれども短い年数でもとが取れる新しい冷蔵庫に買い替えない人が多くいます。いま損をすることを嫌うこのような消費者に対しては、買い替えによって電気代が減った分を購入価格の返済に充てる「電気代そのまま払い」という支払方式を行動経済学の視点から提案しています。また技術の社会受容性については、他にも次世代自動車の普及可能性について自動車メーカーと共同で研究を行っています。

具体的には?

電気代そのまま払いによる低炭素機器の導入と、省エネの行動変容のシナジー効果を目指し、JSTの研究開発成果実装支援プログラムとして北海道下川町、東京都足立区をモデル地域として実施中。

温冷感・快適感の客観的評価

家庭のエネルギー消費量のうち、空調、給湯、照明の需要は全体の7割を占めます。特に人間の温熱快適性の制約を伴う空調エネルギーは単純に省エネルギーを進めればよいものでもなく、快適性との両立が必要です。しかし温熱快適感は人それぞれで、これを客観的に知ることは、個人 によって異なる温熱快適感にあった個別空調を将来実現するための重要なステップになります。研究室では、脳の血流中のヘモグロビン濃度が温熱環境によってどのように変化するのかを心拍波形の計測とともに実験を行い、この課題を解決するための基礎的なデータを収集しています。

具体的には?

近赤外光脳機能イメージング装置(NIRS)による温冷感・快適感の計測の様子。足の局所冷感について、前頭前野(額のあたり)の酸素化ヘモグロビン濃度低下との関連を観察。科研費の支援を受け、井原研と共同で研究を実施中。